親御さんに突き放された受験生は……
昨日の続きです。
さて、模試の結果で完全にノータッチを宣言されてしまったその浪人生は、それでも相変わらずのんびり気味であっけらかんと見えましたが、もしや塾の授業スケジュールはもちろん、併願校の選定も、それに伴う小論文や過去問をいつから始めるかや、なかなか成績が上がらない時の不安なども、相談相手は講師だけで、あとは全て独りで対処しなければならなくなりました。
その生徒さんの驚異的な頑張りは、直前期の1、2月に現れました。完全に追い詰められてからです。冬になっても現代文の読み方が改善しない。おまけに私大の小論文が予想よりはるかに難しい。第一志望どころか、第二、第三志望も全滅か……という状況で、本当にうっすら涙を浮かべていたこともあります。私としては、こちらのアドヴァイス通りにもう少し前から計画的にやってくれていたらと思わないでもないのですが、それでもこの極限的な状況で、志望校も変えず、勉強からも逃げず、文字通り歯を食いしばって必死に乗り越えようとする強さには、「おっ、やるじゃないか」と感心させられました。踏ん張りどころで踏ん張り切れる人は、そうはいないのです。
最後の最後、本試の直前の授業で、やっとやっと「つかんだ」実感があり、第二志望以下は軒並み合格。第一志望には届かなかったものの、後日、「自分史上最高得点でした!」と大喜びで開示得点を知らせてくれるほどの、納得の結果でした。
この生徒さんの発揮した強さは、もちろんご本人の中から出てきたものですが、それを引き出す大きな要因としては、やはり親御さんの「勝手にしろ!」という完全に自己責任に任せた姿勢が大きかったように思います。かなり極端な例ではあるものの、大学受験と親の関わり方を考える上で、ご紹介に値するお話と思い、二日にわたってお届けしました。