医学部小論文で最も大切なこと
医学部予備校の中には、「小論文はとにかくこう書け!」と言うような、かなり乱暴な教え方をするところもあるようです。曰く、「必ず自分の体験談を入れること」。曰く、「必ず医療に結びつけて書くこと」。……。いやいや、そんなはずはないでしょ。と、少し考えたら思いませんか?
小論文の形式は、例えば北里大学のようにオーソドックスなものから、順天堂大学のように「これ、小論文って言うの?」と面食らうようなユニークなものまで様々です。それなのに、たった一つのマニュアルがあると考えること自体に無理があります。面接も小論文も、医学部専門塾で仕込まれてきたように多くの学生が一様に答えたり書いたりする。それに対して大学側が、マニュアル的対策がより取りにくい質問を繰り出してくる。そのイタチごっこなのだと思います。
自分の体験を引いて書くことが適している場合もあるかもしれません。医師を目指しているわけですから、自然と思考が医療と結びついてくるかもしれません。その時はそれを書けばよいのです。ただ、大学側は、マニュアル対応がどれだけ器用にできるかを見たいのではなく、ごまかしようのない「あなた」という人間を知りたいのです。自分の伝えたいことを上手く伝えられるように文章を書く訓練は必要ですが、自分がどんな考えを書くかこそが試されているのだということは、肝に銘じておきましょう。