東大・京大現代文の「半」模範解答
私は英語・国語・小論文を教えていますが、授業が一番大変なのはダントツで国語の現代文です。なかでも東大や京大などの完全記述・論述問題は大変です。まず、文章の内容の高度さは英語長文の比ではないですし、生徒さんが「ここがよくわからない」と言うのは当然その中でも一番わかりにくい部分です。理解を確かめながら、同じ内容をあの方向からこの方向から、言い方を変えて、わかってもらえるまで解説していきます。ただ、実はそれよりも授業の準備の方が大変なのです。
みなさんは、赤本や模試の現代文の模範解答を見て、途方に暮れたことはありませんか? 私が教えてきた多くの生徒さんは、一通り自力で解答を作ってみて、あるいはどうしてもうまく書けなくて、模範解答を見た時に、死んだ魚の目になることが多かったです。😅 模範解答が素晴らしすぎて、あるいは理解できなくて、「こんなの、とてもムリ。自分には書けない」と絶望してしまうのですね。
私もかつては受験生だったので、その気持ちがよくわかります。確かに模試の模範解答は素晴らしい。でもあれは、国語科の講師陣が時間をかけて、予備校の威信をかけて、作り上げた完璧な解答ですから、真似などできなくて当たり前なのです。
そこで私が次回の授業で見る問題を生徒さんにあらかじめ教えてもらい、規定の時間内に解いた解答を見てもらうのです。この解答作成はなかなかキンチョーします。常々、部分点を積み重ねるようにと指導している立場ですから、一問たりとも的外れな解答はできません。集中して解く時間を確保するのも受験期には大変です。私はこれを「半・模範解答」と呼んでいます。模試や赤本の模範解答には及ばないからです。ですが、私の半模範解答を読んだときに、生徒さんの目に正気が戻って、「あ、これくらいならマネできそう」と前向きになってくれるのです。その変化が劇的なので、大変でも準備するようにしています。
東大や京大の現代文で満点を取る人などいないでしょうし、それを目指す必要も全くありません。今よりちょっといい解答を作ることを目指してくださいね。