本番に弱い受験生へ

 以前テレビで、フィギュアスケート金メダリストの荒川静香さんが本番での精神的プレッシャーについて、「いつも通りにしようと思ってしまっている時点で、もういつも通りではないわけで……」というような内容のことをおっしゃっているのを見て、至言だなと思いました。私は本番に弱いタイプで、試験が始まるとペンを持つ手が震えてしまい、心の中で「落ち着けー、私、落ち着けー」と言い聞かせるのですが、それはかえって ”落ち着いていない自分” を強烈に意識する結果になるわけです。

 フィギュアスケートの場合は音楽が始まってしまったら、ミスしようが転ぼうがプログラム通り滑り切るしかない過酷なものですが、筆記試験の場合は60分なり90分なりのまとまった時間を自由に使うことができます。もし緊張のあまり頭が真っ白になってしまったら、一度ペンを止めて、目を閉じて、静かに長く息を吐きましょう。そんな時間がもったいない? いいえ、1分もあれば十分です。パニックのまま時間が過ぎていく方がよほどもったいないのです。10回くらいゆっくり息を吐けば、肩の力が抜けてきます。そうしたら、「どんな内容の文章だろう?」「この文法問題は関係詞かな、仮定法かな?」と目の前の問題だけに集中するのです。