「昔の入試」は知識「偏重」だったのか?
よく、これからの入試は思考力重視に変わるので、昔のように知識偏重ではダメだというような言説を目にして、胡散臭いなぁと思っています。「昔」がどのくらいの昔なのかもよくわかりません。話の土台が共有できないので、言っている事がよく理解できないのです。センター試験(バランスの取れた知識と思考力が必要)と共通テスト(情報処理能力だけが必要)にも当てはまりません。
例えば、早稲田や慶応の世界史はかなり細かいマニアックな出題が確かにありました。だいぶ以前にある受験生がたしか早稲田の過去問を解いていたら、「サラエヴォ事件でオーストリア皇太子夫妻を銃撃したセルビア人青年の名前」が出たと報告してくれて、二人で驚愕したことがあります。ちなみに、「かえって覚えちゃうよね」と笑いあったその名は「プリンチップ」です。
知識上等!
でも「プリンチップ」は別に知らなくてもよいのです。入試は満点を目指すものではありません。細かすぎる出題に惑わされずに普通の問題できちんと正解していけば合格点に到達します。胡散臭い言説をする人はその点を考えていないのかもしれません。あるいは自分の入試の時に暗記に苦労した恨みを晴らしているのかもしれません。思考力が大切なのはいうまでもありませんが、思考のモトとなるのは知識です。知識なき思考はあり得ません。はっきり言って、知識はどんなものでもあればあるほどよいのです。英単語も知識、数学の公式も知識です。