ドンキーコングの威力〜ロバの立場なし〜

ひとつの英単語から世界は広がる

 英語長文を読んでいると「donkey」という単語は比較的よく出てきます。面白いことに、生徒さんたちは皆、それが動物だということはわかるのですが、「で、なんの動物? ゾウじゃなくて、シマウマじゃなくて?」と聞いてみると、「え……、ゴ、ゴリラ? あれ? でもゴリラは gorilla だから、あれ?」となります。ついでにここでゴリラの綴りを書いてもらうと大抵書けなくて、RとLの発音指導をされることになります。😅

 この「donkey =ゴリラ」という発想のもとは、言わずと知れた『ドンキーコング』です。ゲームをやらない私ですら名前とキャラクターを知っているくらいですから、高校生への浸透度は言うに及ばずです。そしてここから英語の授業はさまざまに広がっていくのです。

 まず、ロバを意味する「donkey」がなぜゴリラを修飾するのに使われているかというと、「donkey」には「間抜け、とんま」という意味もあるからです。(ちなみに「とんま」という言葉は消えつつあるようで、その日本語の説明から入ることもあります。)さんざん重い荷物を運んで人間の役に立ってきたロバが知ったらさぞかし怒るだろうと思いますが、動物それぞれに対するイメージというものがあるのです。ブタ( pig )が日本語でも英語でも侮蔑語になる(これまたさんざんご馳走になっておいてねえ……)のと同じで、ウマはかっこいいけど、ロバは……。武士や騎士がもしウマではなくロバに乗っていたら……。王様はロバの耳だからコンプレックスだったのです。

 したがって、動物がテーマのお話ではないのに「donkey」という単語が英文中に登場した場合、その多くはマイナスな言葉として使われているわけです。

 つづきはまた明日。🤗