『読書ノススメ』
学問の前に読書を
受験生になってから現代文を受講される生徒さんの中には、目指す大学のレベルに対して国語力(日本語能力)が圧倒的に足りない方が時々見受けられます。決まって「本は全然読みません」と言います。小さい頃からの読書量の積み重ねが18年分の巨大な違いとなっているのです。
何もしないよりはいくらかましだろうということで、今からでも新聞をとって読むようにとか、本を読んでみるようにとか、授業以外にできることをアドヴァイスはしますが、受験勉強に時間を取られる中で読む少々の文章がどれだけの結果を生むかというのはかなり心もとないものがあります。何よりも、「読解力向上」のために興味もないのに読まされる新聞記事や本のつまらなさといったらないでしょう。本や漫画は面白いから読み、変だなとか怖いなとか思うからニュースを読んだり聞いたりするのですから、本末転倒です。
読書習慣の有無は小さい頃からの環境によるところが大きいと思います。家に本があったか、なくても図書館によく連れていかれたか、親など大人が読書をしている姿を見ていたか、ニュースや新聞に関しても親自身が関心を持って見聞きしていたか。「ひどいね」とか「おかしいね」というわずか一言のコメントだけでも子供の注意は向くものです。
読解力というのは国語の試験で点を取るための道具ではありません。(そんなものはありません。)「イマ、ココ」にないものへの知識や想像力を働かせ、人の言う(書く)ことを理解したりその考えに感動したり反感を持ったりすることまで含む言語能力だと私は思います。