英語は精読も大事です

子供の英語から大人の英語へ

 かつての文法や難解な英文の和訳が中心だったといういわゆる「受験英語」への反動もあり、速読力やリスニングが重視されるようになりました。センター試験が共通テストに改悪されてからの顕著な特徴も、その英文量の多さです。その流れに対応するために今では多くの学校でかえって文法やそれに基づく精読がきちんと教えられていないと感じることがあります。本当は速読も精読も両方大切で、補い合う関係なのですが……。

 いくら速く読めても内容を正しくつかめなければ読んだ意味がありません。日常会話程度なら文法など二の次でよいでしょうが、経済や政治のニュース、論文、ビジネスで必要とされる大人の英語につなげていくためには、正確に読み、対応する日本語を考えることは不可欠です。「実用的でない」とされる複雑な構造の4〜5行にわたる文などざらに出てきます。

 そのような文章を、文法に基づいて正確に理解できた時のスッキリ感は英語を勉強して得られる喜びでもあります。文章の内容はわかって自信を持って和訳を書いたのに、答案を返されたらほとんど点がもらえていないという場合などは、精読を求められているのに速読と同じように読んでしまうことが原因であることが多いです。

 現に東京大学で毎年3題の和訳が出され続けていることからも、研究者である大学の先生方が文法と精読が重要だと認識されていることがわかります。正確に読むことと早く読むことはいずれつながってきます。世の中のなんとなくの風潮に流されて大切なことを見失わないように、きちんと勉強していきましょう。