ノーベル賞から仔犬のおじさんへ①
ちょっとつまらなかった英語長文から知識を広げる試みをしたお話の続きです。「広げる」などというと、まるでこちらが偉いみたいですが、実際のところは、それぞれの生徒さんとのやりとりの中で思わぬ方向へ話が転がっていって、私が知らなかったことを教えてもらうこともしばしばあります。個人指導というのは講師が一方的に進めるものではなく、生徒さんとの相互作用なのだとつくづく感じます。同じ素材を扱っても、授業の発展の仕方は生徒さんによってさまざまに変わります。
件のノーベル賞の長文には、日本人としては大江健三郎氏が挙げられていました。日本人二人目の文学賞受賞者です。では、一人目は誰でしょう?
川端康成です。高名な作家だといっても、私にとってすら生まれる前に亡くなっている遠い存在です。令和の高校生にとってはなおさらです。知らなくても恥ずかしいことはありません。それでも、その生徒さんは「あー、名前は聞いたことあるような……?」と何か思い出すようなご様子。
そして突然、
「あっ、あのめっちゃカワイイ仔犬の人じゃないですか? 友達から回ってきた! めっちゃカワイイんです! ちょっとスマホ見ていいですか?」
と、なにやら興奮して、「めっちゃカワイイ」を連呼しながらスマホを操作して、ある写真を見せてくれました。
続きはまた次回に。🤗