国語便覧のススメ

 高校の国語便覧が大人に大人気だそうです。ワカル。楽しいんですよね。授業中に授業を無視して読んでいても怒られないし(笑)。国語便覧と世界史資料集、それに美術の教科書は、眺めて楽しいだけでなく、知らない世界への小さな窓だった気がします。今の便覧はウン十年前のものよりさらにカラーぺーじや図版が充実していて、十二単の実物着付け写真や、寝殿造の内部構造の模型などもあったりします。

 私の国語の授業でも、特に古文・漢文の場合は必ずと言っていいくらい便覧を使います。でも驚いたことに、高校生の多くが、「ビンランってなんですか?」、「そんなのもらったっけ?」という反応なのです。学校でほとんど使わない(!)うえに、真面目に先生の話を聞いているので便覧でヒマつぶしなどというケシカラン真似はしないようなのです。😆

 ただ、そのために、古典の文章から場面をイメージできなかったり、なんでもないところで大きな勘違いをして読み誤るということが、とても学力の高い高校生にも起こっています。今はテレビの時代劇もなく、中高生が大河ドラマを見ることも(そもそもテレビを見ることも)珍しくなっていますから、古文で描かれる世界を想像することがそもそも難しいのです。さらに漢文となると、子供時代にたまたま三国志や『キングダム』に親しんだごく一部の人にしかわかりません。(もちろんドラマや漫画は正しく時代考証された通りのものばかりではありませんが、それでも風景や建物、人物の様子をそれっぽく思い描けるか否かでは大きな違いがあります。)

 国語便覧はそれらのマイナスを相当程度に補うことのできる絶好のアイテムだと思います。大人になるのを待たず、中高生の皆さん、授業の暇つぶしにペラペラとページをめくってみてくださいね。たぶん先生には怒られません。😉