英語 「リスニングが苦手」を分解する⑤

とにかく音読!

 リスニングの難しさについて、一つ一つの要素にわけて分析してきました。「リスニング対策」というと、何か特別に時間を設けて、ネイティヴの先生のいる塾で特別な練習をしなければならないように思う人もいるかもしれませんが、全くそんなことはないということがわかっていただけたでしょうか。

 もちろん英語を耳で聴くことは大切です。それはリスニングのためというよりは、そもそもの言語の学習のために当然のことです。昔から教科書のCDや、もっと昔はカセットテープ(!)が売られていました。今はQRコードがついています。単語帳や長文問題集でも音源が用意されています。正しい音を聞き、同じように言えるまで発音練習するのは、語学のスタートであり、決して特別な「リスニング対策」ではありません。

 センター試験が共通テストに変わる頃だったと思いますが、◯◯の一つ覚えのように、「四技能!ヨンギノー!」と連呼されていて、塾などでもその風潮に迎合するように「四技能に長けた講師」などと(実際は帰国生や親御さんが英語圏出身の講師というだけ)宣伝していたりして、辟易していたものです。もちろん、大まかに「読む・書く・聞く・話す」の4つの方向に言語能力を分解すること自体には意味があります。しかしその4つは個別に分断された能力であるはずはなく、互いに関連しあっていて境界の引けないものです。日本語で考えてみればすぐに分かることです。

 「読む・書く」の練習に音(聞く・話す)が伴っていなかったのであれば、それは「読む・書く」の練習としてもすでに間違っているのです。単語を覚え、文法を理解して使いこなし、文章をある程度のスピードで、読んだそばから理解する(何度も前に戻る必要がない)ことを目指すという、従来の「読む・書く」の訓練は、そのままリスニングの訓練になります。そして、その際に最も重要なことは、「何度も音読する」ことです。馬鹿の一つ覚えと言われても繰り返します。「音読」を徹底的に行うことです。