模試の「合格者平均点」に惑わされるな

 模試の成績表にはさまざまな数値やグラフが載っています。偏差値や平均点はもちろん、得点ごとの人数分布図や、各教科のクモの巣グラフなど、一つ一つ読み取るだけでちょっと楽しくなってしまうような豊富なデータです。後発の予備校ほどデータが詳細な傾向がありますが、なかでも「合格者平均点」はつい気になってしまいますね。

 ただ、このデータにはワナがありますので気をつけてください。
 まず、「合格者」と言っても前年にその模試を受けた人の中でその予備校で合格が追跡できている人のみのデータであり、母集団がとても小さいです。そのぶんブレも大きくなります。

 もっと大切な点は、実際に合格する人たちは全ての教科・科目で「合格者平均」をとっているわけではないということです。「平均」ですから当たり前ですが……。受験生はつい各教科で「合格者平均点」を上回ることを目標とするでしょうが、戦略的ではありません。それができる人はごくごく一部の天才的な人たちだけです。ほとんどの人にはそれぞれ得意と不得意があり、凸凹しているものです。実際に私が今まで教えてきて、特に科目数の多い東大に合格した生徒さんには、「物理と数学は得意だけれど他は……」というような何かに突出したタイプの人が多かったです。

 全教科の総合点でボーダーを1点でも上回れば合格するのです。データの見方や戦略を間違えないようにしましょう。