医学部か、文学部か、それがモンダイだ①

遠くて近い心理学と医学

 浪人生や再受験生で、医学部から心理学科へ、また逆に心理学から医学部へと志望を切り替えたり、検討したりする人がちらほらいます。この変更はとてもよく理解できます。私はどちらの分野にもど素人ではありますが、古くはフロイトやユングが医師であったように、心理学と精神医学は出発点が一緒というか、同じ対象を別のアプローチで研究しているものなのではないかと思います。

 高校生くらいで進路を決めるときには、さまざまな学問の詳しい内容までは知らないのが普通ですし、各人の環境から漠然と「お医者さんになりたい」とか、公認心理士の資格を取ることを考えて「心理学科に行ってみようかな」というくらいで決めていくでしょう。苦手科目の存在も大きかったりします。

 浪人中も自分の興味や将来を真剣に考えて調べ続けたり、実際に医学部や心理学部(科)に進学して、それまでは知らなかった詳しい内容を勉強していくうちに、「こういうことなら、自分がより深めたいことを学べるのは心理学部(科)かも」「医学部かも」というふうに見極めがついてくることがあるのです。自分自身や学問と真摯に向き合った結果なので、この進路変更は是非応援したいのですが、実際問題としてはここに大きな困難が横たわります。
(明日につづく)