時間を忘れる集中力

 模試で時間配分がうまくいかなかったという人の話を聞くと、「気がついたら残り10分になっていた」というように、「いつの間にか」予定していた時間がとっくに過ぎていることに気づく現象があるようです。私自身は英語でも日本語でも読むスピードが遅く、試験中は時計をチラチラ見ながらつねに急いでいるという状態だったので、そこまで入り込める集中力はすごいものだと感心します。本来、時間を忘れて集中できるというのは、読書であれば深い読みや楽しさに、技能であれば早い上達に、研究であれば優れた成果につながる、ものすごく重要なことで、誰にでも何に対してでも発揮できるような能力ではありません。

 が、確かに、時間制限のある試験となると、手放しで賞賛ばかりもしていられません。「3時間あれば私はものすごく美味しいミートソースを作れる」と言った人がかつていたのですが、「今」腹ペコの人にとっては、「20分で結構美味しいパスタを作れる」ことの方がずっと重要なことです。試験も同じで、「この時間で、この量と質の問題に、ある程度のレベルの解答をできる人」が求められているわけです。

「気がついたら残り時間が少なくなっていた」という体験が多い人は、普段から「何時何分までにこの問題を終わらせよう」というように、自分に時間を意識させ、時間の長さの感覚を持たせる訓練をしてください。