解答用紙は雄弁に語る

 記述模試の結果が戻ってくると、成績表だけ持ってくる生徒さんや、BだのCだのという判定だけを伝えてこられるご家庭があります。もちろん成績表を見てわかることはたくさんあります。私のように英語と国語だけを教えている場合は、数学や理科の現状を把握することができますし、志望大学ごとの人数分布も層の厚さとその中での位置をかなり正確に知ることのできる重要なデータです。一方、判定は、まあ、面白いから見ますが……という程度です。良い判定をもらったなら、おみくじで大吉を引いたように喜べば良いですし、逆にE判定でもその中身はピンキリです。 

 それよりも、実際に採点された解答用紙がずっと重要です。英作文や和訳などは、問題用紙がなくとも、その生徒さんの実力や教科すべき点、ミスの質などを雄弁に語っています。問題用紙がある場合には、もちろん突き合わせて精査します。すると点数はとても低くても、英語力の根本はしっかりしていて、あの点やこの点を克服していけばまだまだ伸び代があることがわかるなんて場合もあるのです。実際に私の生徒さんでも、11月の模試でE判定ぞろいだったのに東大に合格した方もいらっしゃいます。

 気になる記述がある場合には授業でご本人に、その解答をした理由や状況(一番最後に解いたら時間が足りなくなって頭が真っ白になった、とか)を窺って、ますますやるべきことがはっきりしたり、解き方について有効なアドヴァイスをできることがあります。

 ご家庭も受験生本人も、データ(特に判定)に一喜一憂するケースが多く、その気持ちもわからなくもないのですが、個人指導を受けている方は、是非、解答用紙を見せて、受けた助言を大切にしてほしいと思います。