東大模試英語長文と古事記
英語長文と幅広い知識の関係 ②
昨日はNYのセントラルパークを話題にしましたが、英語を読む際に助けとなるのは英語圏の国についての知識とは限りません。今日も実際の具体例を挙げて説明します。
2年くらい前の大手予備校の東大模試だったと記憶しているのですが、第5問の長文の冒頭に日本神話が(もちろん英語で)紹介されていました。英語の旅行ガイドブックを引用した形で、続いて来日するオーストラリア人のお話が地の文として始まります。神話はイザナギ・イザナミによる国生みで、「オノゴロ島」が "Onogoro Island" として登場します。
この長文の出来がイマイチだった生徒さんは、なんと冒頭を丸ごと読み飛ばしたのだそうで、そのためにとても簡単な設問を落としていました。なぜ読み飛ばしたかというと、「なんだかワケのわからない単語があって読む気にならなかったし、導入だからいいやと思った」からだそうです。なぜワケがわからなかったかというと、この方は古事記の国生み神話を全く知らなかったからです。
東大を受けようというくらいですから、とても頭は良いですし、英語力もかなり高いのです。それでも文中に出てくる話題についての知識がないと、英語としては読解できても内容がわからないとか、そもそも読む気にならないということが起こります。英語の試験のために古事記を読もうとは誰も思いませんよね。それまでの読書を含む様々な経験の積み重ねで、どれくらい広い知識を得ているかという、大袈裟に言えば「教養」がモノを言うのです。
この生徒さんには、すぐ次の授業でマンガの古事記の該当部分を読んでもらいました。ちなみにその後も漫画で旧約聖書の創世記冒頭も、同じ理由で読んでもらいました。詳しくなくても、なんとなく知っている程度で十分なので、マンガには助けられました。(笑)