予備校化する高校③
週末に外部から人を呼んで講堂でお話をしてもらうなら、各年代の卒業生や、医師なり会社員なり研究者なり、あるいは日常で高校生が身近に触れ合う機会のもっと少ない仕事や立場の人にお願いすればいいのにと私は思ってしまうのです。予備校や英検の人のお話を「洗脳」と表現した生徒さん(予備校化する高校①)も、「そういう話なら聞きたい!」と言っていました。
初志貫徹して希望の仕事についている人、紆余曲折を経て想像もしなかった活動に携わることになった人、何かの出会いでそれまでと全く違う道に入っていった人などのお話を生で聞く機会は、予備校にはできない、高校(中学)こそが与えられる貴重なものですし、それによって生徒たちの勉学が滞るわけでもありません。
勉学に励むことは言うまでもなく高校生の第一優先事項です。しかし、頭も心も柔らかいこの時期に、さまざまな人の人生に一部でも触れることは、本当の意味で視野を広げ、自分を見つめて深く思考することにつながります。そして、それは大学受験とは比べものにならないほど重要なことです。
高校は大学へ行くための単なるステップではなく、その後の長い人生の核となる人格を形成する場であってほしいと思います。