難しすぎる過去問演習では力がつかない

 昨日の続きです。過去問演習を急ぐ必要がないと私が思うもう一つの理由は、背伸びをしすぎても実力はつかないからです。

 勉強も、筋トレや音楽その他の技術と同じで、現在の実力よりもちょっと上の負荷をかけて鍛えることで着実に力がついていきます。今、過去問が難しすぎると感じる場合は、実力を上げていくことを最優先するべきです。その上で解く過去問は、いわば発表会の舞台リハーサルにあたるもので、重要な最終調整の機会となります。

 塾や学校によっては、受験学年になる前から難関大学の過去問ばかりを演習させるところもあるようですが、生徒によっては「もう〇〇大の過去問を解いた」という無意味な自己満足になってしまったり、「まだ難しすぎるからわからなくてもいいと言われた」というような気楽な姿勢でできないことに慣れてしまったりというケースが多いように見えます。それは、過去問の浪費である以前に、時間と成長機会の浪費ではないでしょうか。