国立大学はお金がない……。

 最近、東京芸術大学で練習室のピアノが撤去されるというニュースがありました。日本を代表する芸術大学なのにピアノが維持できないの?!という衝撃の声も上がっているようです。背景には慢性的な財政難に加え、昨今の光熱費高騰もあるようです。

 光熱費と聞いて思い出すのは、私が大学生だったウン十年前。その頃すでに大学は貧乏でした……。冷暖房のある大きな教室でも普段はスイッチが切られています。夏の試験の時、あまりの暑さにあちこちで汗のにじんだ答案用紙が破れ、見かねた先生が試験場を離れて教務に掛け合いに行ってくれたこともありました。

 私は教養学科だったので4年間駒場にいたのですが、3〜4年生の使う研究室や小教室にはそもそも冷房がありませんでした。暖房も5限になると切られるので、コートにマフラーでガタガタ震えながら授業を受けていました。夏などは学科の図書館で勉強していたのですが、いよいよ暑くなる午後2時(だったかな?)になると、冷房が切られ、職員の方が一斉に全ての窓を開けて風(もちろん熱風)を通したものです。

 その後、国立大学が法人化されて以後は、特に「もうからない」文系学部の学生はますます予算削減の煽りを受けているだろうと思います。冷暖房どころか、図書購入などの研究に直接関わる予算も削られていることでしょう。私は学問のお金で測れない価値を信じて疑いませんが、この国は学問や教育にかけるお金は無駄だと思っているようです。情けないことです。