基礎に抜けがあっても伸びる浪人生、伸びない浪人生

自分の未熟さを直視できるか、できないか

 前回の記事(『医学部や国公立を目指して浪人を決めた人へ』)で、新浪人生でも現時点で中学レベルの基礎に抜けがあること自体は大したことではないと書きました。問題は、基礎の抜けを発見した「後」です。その受け止め方とその後の行動には、医学部や国公立難関大に受かる人と受からない人の間に歴然とした違いがあります。

 例えば中3の問題集の後ろなどにまとめてある不規則変化動詞のチェックをすると、80個ほどのうち10個程度できない人(あるいは、結果としては当たっていたけれどだいぶ不安だったり記憶を呼び起こすのに時間がかかったりした人)から、半分以上できない人まで、身についていない程度は様々です。その時、「え、こんなことも全然身についてなかったんですね。ヤバいすね、ヤバいすね……」とショックを受けて早速次回までにほぼ完璧に覚え直してくる人がいます。その後ぐんぐん伸びる人です。

 一方で、ショックを受けるのは同じでも、「いや、でも今まで英語の成績はずっと良かったし。こんなの大学入試に出ませんよね」と現実を直視できない人や、中には不機嫌になってしまって、失礼なことをされたと言わんばかりに授業打ち切り(講師交代)にする人もいます。講師を代えたら身につくなら、どんどん代えたら良いとは思いますが。😅

 英語も、楽器やスポーツなど他の何事も、初めのうちは出来ない点を厳しく指摘されるよりも、良い点やできるようになった点を褒められて楽しく学習した方が伸びると思いますが、いつまでも楽しい初心者時代が続くわけではありません。それは進歩したからこそです。大学受験で相当なレベルまでいきながらも壁にぶつかって浪人という現状になったわけですから、何か足りない部分や問題があったわけです。それを発見したときに、「思っていたよりもダメな自分」を直視できるかできないかは、精神的な成熟度の違いなのかなという感じがしています。「ダメな自分」といっても、人格的なことではなくたかが勉強のことであって、それもすぐに挽回可能なのですから、それを機に精神的にも学力的にも成長してほしいものだと思います。