帰国生にも英語の苦労がある①
近年では帰国生が珍しくなくなってきました。この2〜3年で私が担当した生徒さんの約3分の1が帰国生です。一口に帰国生といっても、2年くらいの滞在から海外で生まれて中高生で帰国する人まで様々です。ですから「帰国生」と一括りにすることの無茶は十分承知しています。それでも、日本の大学を受験するにあたって強みのはずの英語でも帰国生に共通する難しさがあるように思います。今日から何回かに分けてそれについて書いていきます。
簡単な英語を意外に教わっていない
作家、水村美苗さんの『私小説』に、12歳で渡米した主人公が現地の中学校でやたらと "because" という単語を耳にするようになったが、意味がわからず、単なる音のまましばらく放置していたというエピソードがあります。日本の中学校であれば、教科書で "because" が登場すると同時に意味と使い方を日本語でも説明されるので、自分で辞書を引かない限り意味を知らないということは起こりません。
実際に私が教えた生徒でも、冠詞 "a" と "an" の使い分けがわかっていない帰国生がいました。母音の前では "an" ということは知っていたのですが、"hour" のように音は母音で文字は子音で始まる単語の前でも "an" になることは知らなかったのです。言いにくさ・言いやすさの問題だから音で決まるのだというごく簡単な説明で済むことですが、英語話者がほとんど意識しないような細かいことなので、わざわざ教えられなかったのかも知れません。
その結果、語句整序での思いがけない珍回答や英作文での失点に繋がってしまうことがあります。十分な英語力のある帰国生が、1分で解決するような些細なことで点数が伸びなくなってしまうのはとても勿体無いことです。ちょっとした疑問を個別指導でさっさと解決していくのがよいと思います。