帰国生にも英語の苦労がある④

実は発音を教わっていない

 幼児期など自然に発音を覚える時期よりも遅くに英語圏に行った場合、英語でそこそこ周囲とコミュニケーションが取れるようになっても、簡単な発音の単語が意外に通じないということが起こり得ます。

 ある帰国生は "girl" と何度言ってもわかってもらえず、紙につづりを書いたそうです。私も昔イギリスの語学学校で "world" を先生に理解してもらうのに時間がかかったことがあります。どちらも曖昧母音(”e" を逆さにしたような発音記号)の発音です。

 日本人にとって英語の発音、特に母音の発音は難しく、意識した練習が必要です。それも、ただ真似るよりも、日本語の発音と比べて口の形や舌の位置を説明された方が練習しやすいです。日本の中学校や英会話スクールでは教わる機会があるかもしれませんが、現地校ではその機会はほぼありません。英語圏に暮らせば誰でも自動的に英語の発音が身につくわけではないのです。私の場合は単なる不勉強と練習不足で伝わりにくかったわけですが、日本人の苦手な発音を日本語で教わった方がずっと早いことがあります。