「応用力がない」ってどういうこと?
よく、「基本問題は解けるのに応用問題が解けない」とか、「応用力がない」というフレーズを見聞きしますが、つねづねどういう意味なんだろうと不思議でした。「応用力がない」というのはどういう状態なのでしょう。
私は小学生の頃、2桁や3桁の筆算の割り算ができなくて苦労していたことがあります。(その後、中学での因数分解もまるで何をやっているのか、分からなかったなぁ。)解き方は習って知っているけれども、やたら時間がかかるし、正解率が低いのです。桁の小さな割り算ならできるのに、桁が大きくなるとできないのですから、いわゆる「応用力がない」ということだったのでしょうか。
桁の多い割り算の中身を分解すると、九九とせいぜい2桁×1桁の掛け算と、引き算の繰り返しですね。私は特に、引き算の部分でよくミスをしていた記憶があります。九九も、七の段とか九の段とか、嫌いだったなー。九九を覚え切っていない人に割り算ができるはずがないというのは、当たり前の話ですね。まして、さらに以前に身につけているはずの引き算でもそこそこ間違うのです。引き算や九九を学習している段階ではそれほど目立たなかった「できなさ」が、まさに掛け算されるように大きくなって、目立ってしまったということです。つまり、桁の大きい割り算ができないというよりは、掛け算と引き算がちゃんとできていなかったのです。
大学受験の英語も同じです。「応用力がない」と自称する人の解答を見ると、中学で習うような単語や文法がわかっていなくてたくさん失点しているのです。もちろん、多少は難しい単語が出てきたり、文章が長くて複雑だったりはしますが、一旦それらは無視して基本知識を正しく当てはめていけば、ある程度正確に内容が取れるはずなのに、その部分での取り違えや誤りがあるのです。基本知識から掴める内容をもとに、それ以外の難しい部分を推理していくのに、「もと」がないのではどうしようもありません。
「応用力がない」なんてあり得ないのです。基礎ができていないだけです。基礎をやり直して完全に身につければいいだけだということになりますから、その方が楽でしょう? 私も、できない割り算ばかりやって気分を腐らせずに、引き算まで戻ってドリルをやるべきでした。😅