大学受験にも生きる習い事での学び

 勉強だけしていれば勉強ができるようになるのかという点について私は否定的で、自分の身の回りのことや家庭内での家事分担、読書やテレビ視聴、また学校のクラブ活動など、さまざまな経験をしてほしいと思っています。私自身ももっと本を読んでおけばよかったとか、あんな習い事をしてみたかったとか、振り返ると色々と思うことがあります。

たった一週間バレエを休んだだけで……

 小さい頃からずっとバレエを続けていた生徒さんに英語を教えていたことがあります。現役受験生でしたので学校の定期テストや行事があると一週間のルーティン、中でも単語帳のノルマが、こなせなくなってしまうというご相談を受けました。そういうときは1日あたりのノルマを減らしてもよいのでできるだけ毎日やるようにと助言し、一緒に単語帳をみながら具体的に分量の調節をしました。「今週は忙しいから、一週間は無かったことにする」というやり方は絶対にやめたほうがいいよともお伝えしました。

 するとその生徒さんが「あ!」という顔をして、小学校のお受験のためにバレエ教室を一週間休んだ時のことを話してくれました。お教室はいつもストレッチから始まりますが、床に腹ばいになって両足裏を合わせた時に、カエルのようになった両脚の膝が床につくのが当たり前だったのに、一週間休んだあとはつかなくなっていて、その後は毎日意識的にそのストレッチを続けても二度と両膝がつくようにはならなかったのだそうです。その「静かな衝撃体験」(本人談)が、一週間休んではダメという私の言葉で受験勉強とつながったわけです。

 両膝がつかなくなったことはバレエの面ではマイナスだったのかもしれません。ご両親がバレエ教室に通わせたのは、体を動かす楽しみを知って欲しかったのかもしれませんし、情操教育の一環だったのかもしれません。しかし、そのマイナスや意図を超えたところで、ご本人はさまざまな経験をし、そこから得た学びを、バレエ以外の受験勉強という分野で活かすことになりました。

 続きはまた明日。