「できるだけ授業を入れたい」は要注意!①
昨日の記事に書いたのとは逆のヴァージョンもあります。すなわち、生徒さんと親御さんの側が塾に、「できる限り多くの授業を入れてほしい」と要望される場合です。この「できる限り」というのが、1日3コマでも4コマでも、なんなら1日に2回同じ講師の授業があってもよい、講師が忙しければ同じ教科を複数の講師で分担してもらっても構わないという意味なのです。夏休みや直前期などの期間限定ならまだわかるのですが、かつて浪人生で、一年中、この「できる限り」を希望された親御さんもいます。
お金って、ある所にはあるんだなぁ……😳という感想はさておき。こういう方たちは、昨日書いたような金儲け主義の塾にとっては最高のお客さまなのでしょうが、良心的な塾ではまずちょっと警戒します。授業には予習や復習が必須なのに、それを分かっていないのではないか。さらに言うならば、勉強は突き詰めれば「自分で」やるものだという根本的な真実を理解していないのではないかと疑うからです。
自習が不十分になるほどのペースで授業が入ると、授業の密度は確実に低下します。講師はわかりやすくすることや覚えやすくすることはできますが、生徒に代わってわかったり覚えたりすることはできません。前回の授業で学習した内容を身につけずに次の授業があると、そのやり直しや覚え直しから始まります。生徒のペースに合わせて「一緒に勉強する」授業となり、大学受験生であれば本来独りで行うべき部分まで、講師が手取り足取り付き合うものになります。「自分でやる」という本来の姿から遠ざかってしまうのです。