英文和訳は直訳で〜東大二次の和訳で10点を目指す〜

 模試などの生徒さんたちの解答を見ていると、和訳で点が取れていない人というのがいくつかのパターンに分かれていることがわかります。その中でも比較的改善が容易で、「惜しい。なんでわざわざこんな訳にしたの?」と感じるものがあります。

 それは、内容も文構造も取れているようなのに、意訳のつもりなのか、書かれている通りに訳していない場合です。例えば、「My dream is to be a doctor.」を(もちろんこんな簡単な文は試験に出ませんが)、SとCをひっくり返して、「医者になるのは私の夢です。」と訳してしまう。あるいは、「..., big or small, ...」(こちらは先日の駿台東大実戦の一部です)をきちんと「大きいものだろうが小さいものだろうが」などと訳さずに、「大きさに関係なく」と、ちょっと変えてしまう。

 実際の入試の採点基準は誰にもわかりませんから、マルがもらえないと言い切ることはできませんが、採点基準が厳しければバツになってしまうような危険をわざわざ冒す必要はないわけです。SとCをひっくり返した場合、第二文型であることや文の主語が理解できていないと判断されても仕方がないですし、「大きさに関係なく」の方は「small」という単語の意味を知らないと判断されても仕方がないのです。もっと難しい単語の場合は特にそうです。少なくとも、採点する側としてはきちんと正確に日本語にした人と同じ点をあげる気にはならないでしょう。

 こういったことは気をつければ短期間で直していけることですから、放置するのは勿体無いです。構造通りに直訳した場合、日本語が多少ガタついてみえても、きちんと評価されます。問題の指示は「翻訳せよ」ではないからです。東大の二次試験なら、要約が苦手だとか自由英作文の内容が思いつかないとかいう人はいるでしょうが、和訳というのはとてもシンプルな出題ですから得意も苦手もありません。得点源にしてほしいものです。模試なら第4問(B)の3つの和訳で10点を目指してください。

「翻訳」が出る大学は……

 ちなみに私が知る限り、和訳や日本語訳という指示ではなく、「翻訳せよ」という指示があるのは、東京藝術大学の藝術学科だけです。それもそこそこ専門的な英文の全文翻訳が出題されます。その場合でも、現実には直訳が基本です。なぜなら翻訳とは好き勝手に文をいじって適当に日本語にすることではないからです。S先生という方がSゼミでずっと講座を受け持っていらっしゃいますが、その方の指導も「とにかく直訳が基本」というものです。