「自立」が受験の成功のもと

 「受験」というと「勉強」ができればいいのだろう、だったらなるべく「勉強」に専念できるように、それ以外の様々なことは親がやってあげようと思うのは、親御さんとしては自然なことかもしれません。でも、その優しい親心が、合格を遠ざけます。

 例えば、英語長文の教材を準備する場合です。(インターネットで買う場合はカード決済があるので別ですが)本屋さんで指定のものの中から自分に合ったものを選ぶ場合を考えてみましょう。その時間を勉強にあててほしいから、何かやってあげたいからと、買ってきてあげるとします。すると、お子さん本人は、本屋さんに行くために予定や時間をやりくりするという機会を失います。目当ての本を探す中で、全く別の本と出会うこともありません。他の同じ年頃の人たちが真剣に教材探しをする姿を見て刺激を受けることもありません。何冊かで迷って、違いを比べ、自分にはどれがいいのだろうと勉強の仕方を振り返る機会も失います。当然「これにしよう!」と自分で自分のために決断することもありません。

 こんな小さな経験の積み重ねが、受験を他ならぬ自分が初めて臨む一大イベントであり、自分が頑張るしかないのだという潜在意識を作り上げていきます。そして徐々に逞しさを生みます。この精神的成長と、それがないままの数時間の勉強との価値は、比べるまでもないことです。

 何はともあれ、親御さんはお子さんに「自分のことは自分でやらせる」ことです。そしてもっと大切なことは、ご本人が「自分のことは自分でやる」ことです。