古典への興味こそがやる気の源泉
昨日の『古典の朗読が教科書のQRコードで聴ける』の続きです。中学で古文や漢文の授業が始まる時に、実際に始まる前から「難しそう」と尻込みしてしまう生徒さんも多いです。個別指導の場合は、古典が始まる前からそのような恐怖心を無くしておく工夫をします。そして「なんだか楽しいのかも」と興味を持ってもらえるような導入をしておきます。
古典の学習をする場合、漫画やゲーム、大河ドラマなどで古典の世界を楽しんだことがあるかどうかというのが大きな影響力を持ちます。『三国志』や『キングダム』で、ごく一部でも古代中国を知っているか、戦国武将の甲冑や昔の着物(たとえば牛若丸の姿など)を映像や画像で知っているかどうか(時代考証的に不正確でも構いません)が、古典へのハードルを下げます。QRコードがあるから聴くのではなく、興味があるから聴いてみようかと思うのです。
ちなみに中学2年生だった昔の生徒さんの場合は、歴史系の漫画は全く読んでいませんでしたが、それでも漫画のセリフに出てくる「〇〇せよ」という言い方が「〇〇しろ」より「かっこいい!」と言っていたことを取っ掛かりとして、
「そういうのが古文の言い方だよ。そういうかっこいい言い方が好きなら、古文にたくさん出てくるよ」
と伝えたところ、もともと未知のものへの根拠のない恐怖を感じていただけなので、
「え、そうなんですか?」
とちょっと嬉しそうなお顔になりました。
また、「海の上に浮いてるみたいな、赤い神社に絶対いつか行ってみたい! すごくきれい!」と言うので、厳島神社の説明をし、
「それを今みたいにきれいにした人のことを書いたお話(『平家物語』)の始まりの部分をきっと教えてもらえるよ」と言っておきました。
つまづく前に対処することは、目に見えないので残念ながらあまり評価していただけませんが、それでもやはり、つまづいた後の対処よりもずっとご本人のためになると思うので私は続けています。