一回声に出して読んだら音読……じゃない

 英語や古文・漢文の学習で最も基本的で、楽で、効率的なのは、ズバリ音読です。ところが音読指導をする場合、「音読なんて恥ずかしくて(めんどくさくて)やったことがない」という人よりも、「音読ならよくやってます」という人の方が注意が必要なのですね。ご本人はやっているつもりなので「やっています」と言い、こちらも「そうか、やっているならOK」とスルーしそうになりますが、もう一歩突っ込んで聞いてみると、「長文を読むときに最初に一回音読します」なんて言われてびっくりします。それは単に一回声に出して読んだだけ。たしかに「音読」って「音(声)に出して読むこと」ではあるんですけど……。😅

 英語や古典の学習における音読は、単語の発音の矯正と綴りと音の関係のインプット、知らなかった単語を文中で自然に覚えていくこと、使われている単語の用法や文法を意識しながら読んで身につけること、文脈を意識できるようになること、読み返したり止まったりしなくても同時に内容を理解できるようになるまで読むこと……なのです。一回でできることではありません。読む人のレベルや読む文のレベルと長さによって、当然回数は変わってきます。

 授業で理解した文を、復習で徹底的に音読することで、理解した知識が完全に自分のものになります。自分のものにせずに次の新しい文をただ読んでも、何も積み上がっていきません。それではもったいないですね。