浪人生を親御さんがどう支えるか①
「勉強中にお父さんがコーヒーを……」☺️
今は浪人すること自体が減っているので、高校の同級生たちが大学入学する中で浪人を決意した受験生は、昔の浪人生より精神的に苦しい面があると思います。以前、ご両親との面談で、医学部浪人生のお父様からご相談を受けたことがあります。
「穏やかな娘で、一方で親を良い意味で驚かせてくれる強さもあり感心しているのだが、さすがに浪人生活に入ってからは今までにない荒れた様子を見せることもあって……。親はどう接したらいいんでしょうか。」
大手の集団塾に通いながら、英語など一部の科目については個別指導でもフォローしていた生徒さんです。聡明で精神的にも安定していた方ですが、時間のやりくりや勉強が間に合わないことなどについて不安を口にしてくれることが確かに増えていたので、その都度、具体的なアドヴァイスをしたり、一緒に対策を練ったり、おしゃべりの中でさりげなく励ましたりしていました。
ある日、机の上に出ていた飲み物の話から発展して、「家で勉強していると、お父さんがコーヒーを淹れて持ってきてくれることがあるんです。」とにこにこしながら教えてくれました。年頃のお嬢さんとお父様の仲の良いエピソードから家族関係の良さが伝わってきて、こちらもほっこりします。その時の笑顔もよく覚えていましたのでお伝えしました。外では決して見せない「荒れた」様子を家では見せることがあるというのは、家が安心して自分をさらせる場所になっているからです。そして、そのように安心できる環境を提供してあげることこそが親御さんのできる最大のサポートです。
「だから、またコーヒーを淹れてあげてください」
このお父様は、勉強の管理や内容については塾とご本人に任せてくださり、志望校の選定やご本人の内面にも程よい距離を保たれました。それでもなんとかして支えてあげたいというお気持ちが、美味しいコーヒーになったのです。(私のコーヒーと違って丁寧に正しい方法で淹れてあったことは間違いありません。)
ご本人の頑張りと、ご家族の上手な支えのおかげで、この生徒さんは見事に2つの医学部から正規合格を勝ち取りました。