進路に悩む高三生へ①

 毎年このくらいの時期になると、高校三年生から「いよいよ学部を決めなければならないが、どうしよう……」という相談を受けます。
「なんとなく医学部を目指してきたが、違うような気がする。でも他に特に興味のある分野があるわけでもない」
「理系なのは間違いないのだが、学部が選べない」
などなど。

 これはもう、たくさん話を聞き出して頭の整理を手伝ったり、知っていることがあればアドヴァイスしたり、一緒に調べたりして、とことん悩みに付き合うしかありません。17、18歳で未知の大学・学部を選ぶのですし、医学部のようにその先の職業に直結することもありますから、悩んで当然です。

 最近は中高一貫校などでキャリアデザイン教育も行われるようで、やりようによってもちろん良い面もあるのですが、進路や将来の職業を早い段階で決めるのが良いというわけでもありません。中学生くらいで、まだまだ子どもらしい思いで「決めた」ことによって、その後の数年間、思考が停止しているように見える生徒たちもいます。

 また、考えることから逃げ続けて、この時期になってオロオロする生徒たちもいます。「どこでもいいなら医学部へ行きなさい」と、決められないでいるのをいいことに子供を支配しようとする親もいます。

 私の知る限られた範囲ではありますが、このような思考停止・逃避型の生徒たちは、最後までエンジンがかからずに浪人したり、進学できてもその後迷走してしまう確率が高いです。

(次回に続く)