英検2級で安心する危うさ
英語早期教育ばやりの昨今ですと、小学生のうちに英検2級を取ったとか、まだ中1なのに準一級に挑戦するというようなやる気と能力のある人がたくさんいます。年齢に関係なく、努力して語学を身につけることは異文化理解や視野の広がりに通じることですし、マイルストーンとして資格試験を受けるのも勉強の励みになります。
ただ、実際にそのような生徒さんを教えてみると、中学レベルの表現や文法が正しく使えていなかったり、思わぬ抜けが多いのに驚かされることも多いです。英検は私も受けましたが、「あんまり分かってなくても合格点は取れちゃう」という感じのテストなのです。特に準2級や2級くらいまではこの傾向が顕著だと感じます。また、合格点スレスレでも遥か上回っても同じ級なので、スコアが出るとはいえ実力を正確に認識しにくいのです。
それでも受かれば当然うれしいですから、たとえば2級を取ったら、2級は「高校卒業程度」とされていますから、自分にはもう高校三年生くらいの英語力があるのだろうと思ってしまいます。そういう中学生にとっては学校の授業は、すでに(一応)知っていることを、まだ知らない同級生と一緒に受けることになりますから、自然と油断が生まれます。本当は「知っている」だけでは全く不十分で、自在に「使いこなせる」ところまで反復練習して持っていかなければ意味がないのですが、定期試験前だけちゃちゃっと勉強して乗り切れてしまうということを繰り返していると、そこまで持っていけません。
早くに2級をとったからといってその後も早いペースで英語力が向上していく例は稀です。医学部や東大を目指す場合でも、受験期に準1級のレベルに到達していれば十分すぎるほどですので、級取得の早さにはあまりこだわらない方が良いように思います。