学校や塾の進路指導 〜学校編〜

 高校でも、集団・個別を問わず塾でも、進路ガイダンスや定期面談を行うところが多くなりました。一見すると懇切丁寧な対応のようですが、その中身の充実度やスタンスにはかなりのバラツキがあります。

 一般に学校側は進学実績を上げるために、より偏差値が高くネームバリューのある大学を目指すようにと指導することが多いです。曰く、「自分の可能性を早くから狭めるな」。曰く、「高みを目指せ」など。それ自体は素晴らしい謳い文句で優秀な高校生の心を高揚させます。

 自分の興味や大学への憧れで、早くから早稲田の文学部を志望していた生徒さんに、高3になってから学校側が東大受験をすすめてきたことがありました。学校の気持ちもわかるくらい優秀な方でしたが、あまり勉強してこなかった社会が今からもう一科目増えることやその組み合わせの厳しさ(諸事情により日本史と地理という不利な組み合わせになってしまう)がある上、ご本人には「絶対に浪人は嫌!」という譲れない条件がありました。学校側がそのような個人的な事情や希望を十分考慮している様子は感じられませんでした。

 メールや授業後に何度も相談に乗り、『絶対現役』の優先度が非常に高いなら東大はちょっと危険という正直なアドバイスもし、またどちらを選んでも最大限のサポートをすることを伝えました。結局この生徒さんはもともとの目標通りに早稲田を受験し、合格しました。迷っていた間、お母様は私と生徒さんのやりとりについてはノータッチを通されましたが、合格後「あの時は的確なアドバイスをくださりありがとうございました」とお伝えくださいました。

 私は英語を担当していたこともあり、「第一志望校合格をお手伝いする」上で、どちらを選んでも全く利害関係がありません。経験に基づいてご本人の事情を私なりに汲んだ助言を参考にしてくださったことをありがたく思います。