「やりたいことがないから医学部」だと?!

 以前、『反面教師にしてほしい、消えていった医学部受験生たち⑤』で、大学4年生くらいの人たちが「逃げ」で医学部受験を目指して消えていくケースについて書いたことがあります。そのもう一段階前、高3の冬や浪人生になりかけてから、「やりたいことがない」と言って、なぜか医学部受験コースに入る人たちもいます。

 17歳や18歳という年齢で、長い将来にわたってやりたいと思えることがまだ見つからないということ自体は、当然ありうることですし、なんら問題だとは思いません。ただし、真面目に考えても結論が出ないというのではなく、中には「本当に何も考えてなかったんで!」と何故か自慢げに語る人もいて、そういう場合には、「いや、考えなよ」と突っ込みたくなりますが……。

 問題だと思うのは、何にも興味がなく、勉強が好きでも得意でもないのに、医師を目指すということです。たいていそこには、医師である親御さんの存在や「勧め」があるのですが、医学部受験の厳しさを知る身としても、また患者となりうる身としても、その程度でよりによって医師を目指されては困るというのが正直なところです。結局ご本人が一番苦労することになるので、誰のためにもなりません。

 やりたいことが見つからないのなら、とりあえず一番得意な科目と関連のある学部や、なるべく広く総合的に学べる学部、またはなんとなくでも良いイメージのある大学を目指してみればよいのに、なぜ、よりによって、人の命に直接関わる職業に直結する医学部という選択になるのでしょうか。17、18歳にもなってその無責任さは大きな問題だと思います。