受験生迷言録④「え、私がやるの?」
二浪の彼女。私大文系。他の先生から引き継いで私が国語を担当することになりました。ところが、前の先生と使っていた現代文教材がどれかわからないとおっしゃる。これかも?という問題集を開いて、どこまでやったかと実際に文を見てもらっても、わからないとおっしゃる。
ではまず古文からにしましょう。初見の文章を読んでもらい実力チェックをします。英語もそうですが、古文も音読をしてもらうだけで実力がかなりわかります。歴史的仮名遣いが正しく読めるか、平仮名つづきのところで単語を正しく切れるか、古文特有の漢字を正しく読めるか(「上達部」=「かんだちめ」など)を見ます。短めの文章を渡して、「まずは初めから終わりまで声を出して読んでみて」と言うと、彼女、目を丸くして言い放ちました。
「ええ?! 私がやるんですかあ?!」
いや、何しに来た? 個別指導だぞ。他に誰がいるというのだ? え、もしかして、私?
不貞腐れながらも読み終えたので、「ここの一文を現代語訳してみて」と言うと、
「私が、ですか?」
と再びのセリフ。そしてなぜかケンカ腰。こちらはキョトン。
「ちゃんとわかってます!」
いや、だから、それをチェックしたいんですけど。何しに来た?
一方的に講師の話を聞くスタイルの授業が好きなら、集団塾へ行くことをお勧めします。ちなみに、前の先生は「優しすぎて結果が出ない」から交代になったそうです。私は「厳しすぎる」ので交代になりました。