女子医大英語過去問とNYセントラルパーク
英語長文と幅広い知識の関係 ①
勉強すれば勉強ができるようになるのでしょうか? 英語でも国語でも小論文でも、それぞれの教科の勉強をすれば、その分だけできるようになるのでしょうか? これは「条件付き」でYESです。その条件とは、一般的な幅広い知識(つまり常識)や、さらに言えば教養があることです。少し具体的に説明したいので、今日から何回かに分けてお伝えしていきます。
女子医大の英語の問題は、すべて英語で、図やグラフ、地図、会話文が多用されるなどの特徴がありますが、英文自体も設問もさほど難しいものではありません。ある生徒さんで、地道に努力を重ね、医学部の過去問にも対応できるようになってきた方が、女子医過去問の大問一つだけ大きく失点していたことがありました。その大問は、ニューヨークのセントラルパークと周辺の地図を参照しながら、会話する人物たちの待ち合わせ場所や別行動時のルートなどを特定していくものでした。地図には公園の中の道や池、敷地内に入り込むように建つメトロポリタン美術館などの施設が書き込まれています。
ところがこの生徒さんは、まず地図を正しく読むことができていませんでした。セントラルパークの存在を知らなかったのです。市中にこれほど大きな公園があり、建造物もあるという設定が理解できず、「道があるのだからここは市街で、一体 "Park" はどの部分なのか?」と、なんだかよくわからないまま解いていたそうです。
詳しくは知らなくても、アメリカのニュースや、ニューヨークを舞台としたドラマの一部ででも、「セントラルパーク」という名称や「ニューヨーク市中には巨大な公園がある」という程度のことを見聞きしたことがあれば、問題を見たときに「あれのことかな?」と連想が働きます。もっと譲って仮にセントラルパークを全然知らなくても、例えば東京の府中の森公園や昭和記念公園などに行ったことがあったらそれを思い浮かべられればよいのですが、「公園」といえば住宅街の中の小さな児童公園という意識しかないと、英語力だけでこの問題に対応することはなかなか難しいです。
もちろん英語を勉強する中で(例えばこのような問題に触れることで)セントラルパークを知ることもあるわけで、「知識→勉強」と「勉強→知識」はニワトリかタマゴかという話ではありますが、知識がなければ英語を勉強しても英語が理解できないという典型例です。