1日5分、その日のニュースを

 先日、医学部受験生と過去問の長文を読んでいました。コロナ禍に関する文章がすでに「頻出」といえるほどになっていて、その文章も英米で子供が(アデノウィルスによる)謎の肝炎を発症する例が相次いだことの研究に関するものでした。ここ2・3年のことですから、「謎の肝炎」とか「アデノウィルス」という単語に聞き覚えがあるかもしれないと思い、生徒さんに聞いてみたのですが、全く知らないとのこと。

 実はこういうことが最近増えています。英語の長文や国語の現代文でテーマになっていることについて、テーマ自体も関連するキーワードも、見たことも聞いたこともないという生徒さん。今の中高生はテレビをほとんど見ませんから、何かの番組のついでにニュースを見るということがありません。新聞をとっているお宅も減っているので記事を読むことはおろか、見出しに触れることもありません。情報が入ってこないのですから、当然検索することもありません。今の世の中で起きていることについて、ほとんど知らないということがあり得ます。

 そのことの問題を追及してしていくとここではキリがないのでやめておいて、英語と国語という観点でのみ言います。知識ゼロの状態から大学受験レベルの文章を読んでその内容を理解するのは、少しでも知識がある場合に比べて、当然困難になります。もちろん、読んだ文がきっかけになって世の中の問題を知るという逆向きの矢印もありますし、そのようにして知的好奇心を刺激されるのも大切なことです。しかし、あまりにも知らない内容ばかりだと、英語長文や現代文は次々に読むのですから、どんどん忘れてしまい、頭に残りません。読むのは難しい、内容は残らない、では勉強はしんどくなるばかりです。

 YouTubeでもLINEニュースでも、情報源はなんでも構いません。1日の終わりに歯磨きでもしながら、その日のまとめニュースを見てみてください。別に真剣に聞かなくても、なんだかよくわからなくても、そのまま忘れてしまってもいいのです。是非、続けてみてください。