医学部小論文と幅広い知識の関係

 時事知識が直接に出来を左右するのが現代文だとすると、間接的に左右するのが小論文です。特に近年の医学部の小論文は予備校での対策が取りにくいように工夫が凝らされている変わった出題が多いです。東海や順天堂はその最たるものでしょう。出題としてはオーソドックスな慈恵は、その字数の多さのために、論を支える知識がないと対応が難しいです。

 例えば順天の「写真を見て感じることを書きなさい」という指示に、ただつらつらとああも感じた、こうも感じたとか、思い出話を語ったとしても得点は期待できません。小論文である以上は「感じること」をもとに自分で主題設定をして考えを論理的に述べる必要があります。感じたことからあれこれ連想して主題設定に至るわけですが、その過程で幅広い知識が材料や具体例を提供することになります。

 教養というのは短期間に身につくものではありませんから、普段から、またできるだけ早いうちから、ニュースや新聞、新書などを読む環境に身を置くことが大切です。個別指導の場合はあるニュースについての自分の感想や考えを恥ずかしがる必要なく講師と話してみることができます。それによって別の見方や切り口を知ったり、全然違うテーマと思わぬところでつながっていることを発見できたりもします。知的な刺激のある生活を送った結果が入試の小論文の出来に反映されるのです。