音読とシャドーイング

 音読は古典的な英語学習方法ですが、シャドーイングがさかんに薦められるようになったのは比較的最近のことのような気がします。私が中学で英語を勉強し始めたときは、音読や暗唱は薦められましたが、シャドーイングは知りませんでした。ただ、高校の英語の先生が準備室でひとりブツブツと真剣にカセット(!)を回してシャドーイングしているのを見たことはあるので、私が知らなかっただけで専門家の間では基本的な勉強方法だったのかもしれません。

 シャドーイングは、声を出すという点で共通しているので、なんとなく音読と同じようなものだと思っている方もいるかもしれません。しかし、実際にやってみるとわかりますが、訓練としては相当に違いがあります。まず、シャドーイングの方が圧倒的に難しいです。私の耳が悪いか、”音読育ち” のせいもあるのかもしれませんが、音読ではあまり必要とされない能力を鍛えられる感じがします。

 シャドーイングでは、自分の声をほとんど聞かずに、耳に入ってくる音の方に全ての意識を集中するような感じです。というより、自分の声を聞いてしまうと、耳から入ってくるつづきの英語が聞き取れなくなるのです。音源のボリュームを上げて、自分の声は小さくするとやり易くなるのはこのためです。

 「うわあ、舌が回らない! LとRを間違えた!」などと思っていると完全に置いていかれるので、その場では発音も二の次になります。自分のペースではなく、相手(音源)のペースに必死についていく練習です。より実践的で、車の運転練習に例えていうなら「路上教習」というところでしょうか。