「この英語には違和感がある」って、なんでそんなに偉そうなの?

 英文法の4択問題や間違い探し問題で、なぜその答えを選んだのか、なぜ他の選択肢では間違いなのかと解答の理由をきくと、かなり稀(数年に一度くらい)ではありますが、「この(他の選択の)英語には違和感があるので」というお言葉が返ってくることがあり、仰天します。😳

 4択には文法や語法上の明確な理由があって答えが一つに決まるので、それに必要な知識を知らなければきちんと解説して覚えてもらうまでです。以前に「なんとなく」答えを選ぶなら意味がないと書いたことがありますが(『英語文法問題は正否よりも思考回路が大事』)、「なんとなく」よりも「違和感」の方がさらにタチが悪いのがわかりますか? 「なんとなく」と答える人は、その瞬間に自分でも思考回路のない解答をしたことに気づいて、モジモジと口ごもる(カワイイ😆)のですが、「違和感」発言をする人はなぜか自信満々です。それも、英語が苦手だとか、あまり勉強をしてこなかったという自覚はある人たちなのにです。

 立場を変えて考えてみましょう。英語を母語とするアメリカ人で、日本語を勉強中だがまだ平仮名や易しい漢字も怪しげで、発音も英語訛り、文章の読み書きは小学校3年生程度という場合。例えば「理屈をこねる、ねじる、よじる、しぼる」のどれが正しいかと聞かれて、「この『理屈をこねる』という日本語には違和感があるので間違いです。『理屈をよじる』なら違和感がないので正しい日本語です」と言ったとしたら……? 正誤はさておき、その自信は一体どこからとつっこみたくなりませんか?

 そもそもよく知らない外国語に対して、初学者が違和感も何もないでしょう。もし正しい表現に対して謎の違和感を覚えるのなら、その違和感を取り除いて馴染むのが勉強です。「違和感」を堂々と口にする人は、謙虚に学ぶ姿勢が欠けていることにも、知識が足りないことにも、思考回路が働いていないことにも、気づいていません。もし自分が聞いたことや見たことがないから違和感があるのだとすれば、聞いたことも見たこともないほど不勉強だったか(たいていこっち😓)、本当に存在しない英語かです。それは調べてみなければわかりません。

 もしこのセリフが許されるとしたら、いわゆる英文法を学んだことはないけれど長年英語圏で暮らしてきた帰国生くらいではないでしょうか。