一つの単語がつなぐ英語と医系小論文
単語やトピックの深掘りで志望分野につなげる
昨日は英語と世界史をつなげる授業について書きましたが、英語から知識を広げていくことのメリットは医学部を目指す人の方が大きいかもしれません。学校や医学部受験塾では小論文や面接の対策をしてくれるところも多いですが、そのための時間を定期的に割くのはなかなか難しいですから、普段の英語の勉強の中で医系トピックに触れていくことができれば一石二鳥というものです。
ある生徒さんに英語長文を教えていた時のこと。"maternity leave" (女性の育休・産休)という単語が出てきました。その生徒さんは意味を知っていたのですが、医学部志望でしたので、まず "mater" = "mother" であり、形容詞形は "maternal" であること、そして「では父は?」という流れで "paternal" という対語も紹介しました。
「Paternalism って聞いたことある? カタカナでパターナリズムって見たことある?」
一般的には家父長的な態度やあり方を広く指しますが、医系トピックとしては医者ー患者関係を考える上での重要な概念です。う〜んと簡単に言うと、「昔は医者が父親のように偉く、患者はその方針に従うというあり方が主流だったが、それでいいのか?」という話です。医学部を目指す人は必ず知っていなければならないトピックですし、知っているだけでは不十分で、考えていかなければならないテーマです。
この生徒さんは、この時はまだ高校生でパターナリズムという言葉を知りませんでしたし、その時一緒に読んでいた長文も医系の内容ではありませんでした。"maternity leave" の意味を知っているからOKとスルーしてしまえばこの学びは得られなかったでしょう。単に英語が教えられる講師というだけでなく、ご自分の将来の分野のことも常に考えて授業をする講師を選んでほしいと思います。