ロバからピカソへ

ひとつの英単語から世界は広がる③

再び「Donkey」をめぐるお話の続きです。(「ドンキーコングの威力〜ロバの立場なし」「ドンキー・ホーテ?〜ロバはどこに〜」

 ピカソについては人それぞれ様々なことを知っているので、この先はひとりひとりに合わせて授業の道筋が変わってきます。「ピカソって本当は絵が上手いんだよねー」とか、「あの人のあの絵はいったい何なの?」とか、正直で気取りのない感想を言う生徒さんもいます。その場合は、軽く美術史について触れて、キュビズムという単語を紹介することもあります。(生徒さん自身がご存知のことももちろんあります。)

 英語の授業ですので、「cube = 立方体」という単語と、「ーism」という接尾辞の説明もします。「a Picasso」に「ピカソのような(すごい)画家」という意味と、「ピカソの絵・作品」という意味があること、さらに「作品」という意味での「work」は可算名詞であることなども、例文をあげて説明していきます。ついでにピカソの本名がものすごく長いというミニ知識を紹介することもあります。普通の西洋人でもミドルネームがあって、日本人の我々からすると長いのですけど、寿限無ばりに長いです。

「あれがイイ!って思う人がいるわけでしょ? 有名で、スゴイって言われてるからそうなのかなって思うけど……」という感想からは、重要単語である「appreciate」の理解につなげていきます。「認識する・鑑賞する・感謝する」というように訳語を羅列して暗記しているだけの人も多いのですが、おおもとの「物事の本当の価値を理解する」という意味がピカソの絵によって実感されるわけです。

 つづきはまた明日。🤗